「生きる喜び・・・・」
神社の中にあるガラス張りの建物の中で、10人あまりの人たちが、真剣に気功の練習をしている中、まつげ1人だけ、顔が真っ赤になっていた。
やっているのは、「言葉を使わないで、相手に思いを伝える」ということ。今は、NAOちゃんの送ってくれている思いを理解しようとしているのだが、さっぱりわからない上に、なぜだかわからないが、恥ずかしくて、NAOちゃんの顔をまともに見ることもできなくなってしまっている。しまいには、笑いだしたい衝動にまでかられてきて・・
真面目にやってるのに。顔は赤面する一方。
今度こそ真剣に・・。気持ちをあらためて、もう一度NAOちゃんの目を見つめたとたん・・・ブハハハーーッ!!とうとう、おかしくて噴出してしまった・・・。
みんなから、「なによー?」と冗談めかした野次が飛んでくる。ごめんなさい!!NAOちゃんの顔がおかしいわけでもないし・・。
反省しきりのまつげ。わざとじゃないんだけど。自分の感情がコントロールできない。いったい、どうなっちゃってるの?あたし?
「はい、じゃ、そこまで」
ミッチー先生の声がして、そのとたん、キャーッと言う歓声とともに、まつげのママと、桃原先生(ママのお友達の薬剤師)が抱き合って、「ありがとうーーー!!」と言い合ってる。
桃原先生は、ママに愛のイメージを送り、ママは、それがキャッチできた、といって、二人で喜んでいるのであった。
しかし、あとで聞けば、桃原先生は、愛を「花束」のイメージで送ったが、ママは、「山」のイメージでキャッチした。まったく違うものが送られてしまってるじゃないか!!でも、ママには、ちゃんと「愛」が伝わったという。
喜んでる二人を尻目に、まつげはNAOちゃんに聞いた。
「ね、何を伝えてくれてた???」
するとNAOちゃんは、かわいい目をくりくりとさせながら、
「まつげちゃんってキレイだなって。そういう気持ちを送っていたよ。しまいには男性のような気持ちで送ってました!」
なるほど!!まつげが、真っ赤になった理由がわかった!
日頃、『キレイだよ』だなんて、言われ慣れてないからだ!(そうじゃなくて・・・)
いや、実際すごい。NAOちゃんは一言も喋らなかった。なのにまつげの体(?)は、たしかに思いをキャッチして?顔が真っ赤になってしまった。
ミッチー先生は、そんなあたしたちを見て笑って、
「言葉で出来るコミュニケーションは、実際の20%程度だと思ってください。多くの情報は、目に見えないところで伝わっています。だから、言葉でどんなにうまく言いつくろっても、実際には、見えないところで伝わってしまっている。「なにか変だな」と感じるときなどは、そういうときです。
子供は、特に敏感なので、親が言っていることと、感じとして伝わってくることが違うと、混乱してしまうこともありますね」
ミッチー先生の気功教室は、気功教室らしからぬ気功教室だ。 気を練る?練習もするが、こういうおもしろいワークも入っていて、価値観が変化していくような体験をすることもできる。
今回は、まつげの妹2人も、参加していたが、初めて気功教室に参加したカナちゃんも、真ん中の妹の佳代ちゃんと組んだとき、うねるような気を感じたという。でも、まったく何も感じない人もいる。
何も感じなかった女性がいて、ママや桃原先生にかこまれて、自分だけ出来損ないモードになってしまったが、あとで、話を聞いてみると、彼女は彼女でちゃんと感じ取っていることがわかった。
今回は、初めて、まつげの旦那トモシーも気功教室に参加した。
3年前、ミッチー先生が初めて我が家にやってきたとき、トモシーは、ミッチー先生のグループワークを受けたことがある。その時トモシーは、孤独についてたずねていた。グループワークが終わったあと、ミッチー先生は、まつげにこう言った。
「この家族は、みんないろんな形でヒーラーだけれど、中でも彼は、一番ヒーラーの素質があるね」
まつげは正直(どこがやねん!)とつっこみをいれたくなる思いだった。あんなに悩みも多くて、すぐにネガティブ思考になる彼が・・・。(優しく真面目で賢くてハンサムですが・・)、ヒーラーになるには、ちょっと・・(先が長そうだ)。それ以来、トモシーがミッチー先生のワークを受けることはなかったが、あれから3年。ミッチー先生の予言どうり(?)、トモシーは、薬局でも家庭でも、ヒーラーとしての素質を発揮し始めていた。
ミッチー先生は、今回も、東京から、自分の愛車(水色)を運転して、9時間かけて、3人でやってきてくれた。弟子であるNAOちゃん(30代女性)、そして、東京で相談薬局を営む桃原先生。
2人とも、東京のミッチー気功塾の熱心な生徒でもあり、まつげとママの友人でもある。今回、高松にきてくれる目的は、まつげとママの念願のコミュニティハウスの完成パーティに参加するため。
コミュニティハウスは、ママとまつげの念願の場所。
いろんな人が、集える場所が欲しい。そう思い始めたのは、いつだったのだろうか?
家族も多く、お客様も多いまつげのおうちは、いつもにぎやかな(さわがしい?)家である。
しかし、まつげとママは、楽しい日々でも、まつげのパパは、違っている。
寂しがりのクセに、お客様に疲れてしまうパパ。
「他人ばかり家につれてこないで」そういうパパに、「家族同然の友人だよ」と言っても、パパには、理解できない。
仕方ない。5年後に、小さくてもいい。みんながいるだけで癒されるようなゲストハウスを建てよう!ママと2人でそう目標を立てたのに、その願いは、たった1年で、現実になった。
不思議なことに、決めたとたんに家のすぐそばの土地が手に入り、いろんなご縁があり、建てちゃうか・・・ということになった。
友人の一級建築士Mちゃんが設計を担当。そしてその旦那様とお父さんが大工さんで、実際に建物を建ててくれた。そして、友人のZちゃんが庭を担当。
建物を建てる土地は、専門業者に頼んで、炭と水晶をしっかりと入れて磁場活性をした。
出来上がりに、ミッチー先生も、とてもニュートラルな空間だ、と絶賛。
パパは、珍しく、ゲストハウスの建築に賛成していた。
「将来は、そこで、ママと2人で暮らせるかも」
そういって喜ぶパパに、ママは、きっぱりと
「いやよ。老後にパパと2人でいたって、おもしろくもおかしくもないでしょう。わたしは、みんなで暮らします。」
パパは、小さな夢破れて、がっくりしていた。
まつげと2人でいるときにママが言った。
「お金を使ってしまうのも、悪くないね。なんだか、恐いものがなくなってしまったわ」
「たしかに・・本当にそうだね」
貯金を、はたいての建築に、決めるときには、いろんな迷いもあったし悩んだけれど、いざ、やってしまってみれば、前には感じられなかったぐらい、開放的な自分がいる。
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次の日は、グループワーク。今回は、仲良しのMちゃん、Kちゃん、Jちゃん。
それからNAOちゃんに桃原先生に、新しくNさん。仲良しの友人たちがメインでのワークとなった。
しかし、これが思ってもいない展開で、まつげは、開いた口がふさがらなくなったり、MちゃんとKちゃんの思いもよらない美しい友情にたっぷり塗ったマスカラが涙で落ちちゃったり、もう、まつげのチープな文章力では、表現しきれないので、割愛。(すみません)
しかし、いつも思うけれど、ミッチー先生のワークに参加したいと思う人は、とっても勇気のある魂の持ち主だと思う。とても芯が強く、才能あふれる個性的な人ばかりだもん。
グループワークがすんで、今日は、NAOちゃんの誕生日。
トモシーは、NAOちゃんの過去生ワークを受けたいと言った。NAOちゃんは、その人の過去生を見ることができる。そして、それを今回の高松から、目の前で絵と文章にしてくれるということだった。しかし、小一時間で終わるはずが、1時間をすぎても終わらない・・
いったい、どれだけ複雑な過去を持つ男なのかしら?
2時間近くたって、やっとNAOちゃんとトモシーが戻ってきた。NAOちゃんは目を真っ赤にしている。トモシーに泣かされたとのこと・・。いったい全体、どういうワークなの?
NAOちゃんは、教えてくれた。
「トモシーが言ってくれたことが、すごくうれしくて・・。トモシーはヒーラーだよ」
トモシーは、
「自分の正直な気持ちを伝えただけだよ・・」
と照れくさそうにしていた。
NAOちゃんは、優秀なヒーラーの一人ではあるが、いろいろで、しばらくヒーラー業をお休みしていた。それに関係があることみたいだった。
なんにせよ、NAOちゃんは自分らしい自信を取り戻したみたいだった。
一見、トモシーがNAOちゃんにプレゼントをしたみたいに見えるが、実は、トモシーもプレゼントをもらっていた。それは、「トモシーはヒーラーだよ」というNAOちゃんの言葉・・。今、また1人、(かけだしの)ヒーラーが誕生した瞬間だった。
そして、トモシーの過去生は、中世の騎士。大切な人を守るためにずっと戦ってきた。でも、もう、その鎧をぬいで、戦わず、幸せに生きていいんですよ・・そういうメッセージだった。
誕生日会がはじまった。まつげと妹の佳代ちゃんとカナちゃんは、NAOちゃんを驚かせようと誕生日会を企画していた。写真を切り貼りした立体的な誕生日カード。(苦労しました・・・)そして、ケーキにろうそくをつけて、ミクや天ちゃんや家族みんなで誕生日の歌を歌った。NAOちゃんは、感激してくれた。
そのあと、遅くまでパーティーをしていると、またパパが嫌がるので、ミッチー先生たちが宿泊させてもらっているYちゃんのおうちに移動した。
桃原先生は、お酒が飲めるので、酒飲みのトモシーは、大喜び。しかし行ってみると、桃原先生は、早々と寝室にあがってしまっていた。
残るメンバー、トモシー、NAOちゃん、ミッチー先生、まつげの4人で話はじめた。いつもは、子供達と、夜10時半には眠りこけてしまうまつげも、たまにはこうやって子供抜きで、気の合う人たちと夜中まで話すというのは、何より魂が喜ぶ時間だった。
ミッチー先生とNAOちゃんが、NAOちゃんがヒーラーをお休みするにいたった経緯を話していた。この2年ほど、師匠と弟子と言う関係で、一緒に仕事をしてきた2人が、一時的にすれ違って、結局、お互いの気持ちを確認しあい理解を深め合うまでの話。師弟関係と言うのは、ある意味恋愛に似てる・・と。深い信頼関係だけで、結ばれているんだな・・と。(2人は、もちろん恋人ではありません)
NAOちゃんは、それなりに大変なこともあったらしく、「正直、弟子じゃないまつげちゃんがうらやましいと思うこともあったよー」という。まつげは、笑って聞いていたが、トモシーの一言で、その笑いが吹き飛んだ。
トモシーは、ミッチー先生を前に、こう告げた。
「NAOちゃんの気持ち、わかるな。正直、ミッチー先生の存在には、焼けますね」
まつげは、飲んでいた甘茶を、ぶっと噴出しそうになった。
「な、なんてこと言うの・・・・」
慌てるまつげを気にもせず、それには、ミッチー先生が答えた。
「いや、言われてもしょうがないと思ってる」
まつげは、あまりのことに、(ブルータス!お前もか!)と、目をふさぎたくなった。持っていたコップをおとさないようにしっかりと握りなおした。
いったい、なんなの・・何が始まろうとしてるの・・・。
いや、ここで、はっきり言っておく。ミッチー先生とまつげは、とても気が合うのは事実だし、深い信頼関係があるのも事実だが、世間様に恥ずかしいような関係ではない。
けれど、家族でもない、友人でも、恋人でもない。ましてや、ミッチー先生とNAOちゃんみたいに師弟関係でもない。ミッチー先生とまつげの関係を人に説明するのは難しかった。そんなまつげとミッチー先生に、トモシーはヤキモチを焼いていたという。それを口にできるという事は、すごいことだ。しかーし、なぜだか、とても居心地が悪い私。
トモシーとミッチー先生、どっちが好きなの?と聞いてきた人もいる。でも、そんな質問には答えられない。
トモシーは、まつげにとって、かけがえのない大事な旦那様であることは、間違いない。でも、ミッチー先生も、まつげにとっては、代わりはいないかけがえのない大事な人なのだ。
結局、2人は、「まつげちゃんを大好き同士」ということで、同盟を組んだみたいだった。がっちり握手なんかしてる。なんか、まつげひとり、空気が抜けた風船のような、毒気が抜かれた蜂のような気分・・・。
でも、なにはともあれ、よかった。なんだか、まつげも、嬉しかった。

パーティー当日。フルールに、思いのこもったプレゼントがたくさん届いた。数々のお花、ワイン、菓子、紅茶、食器、ランプアクセサリー、それから、沙織織りの手織りのノレンや、変わったところでは、音が立体的に聞こえる不思議なスピーカー。
こんなにも祝福されていいのかな?
なんだか、不思議な感じで、喜びをかみしめた。
ミッチー先生や、NAOちゃん、桃原先生にも準備を手伝ってもらって、パーティーの準備をしているところに、ぼちぼち来客が現れ始めた。
最初にやってきたのは、最近友人となったOちゃん。Oちゃんは、60歳ぐらいの女性と一緒だった。初めて見る方だったが、背はまつげと変わらないけれども、スマートで、カジュアルながらもかわいい服装。髪もくるりと巻いていて、とてもおしゃれさんだ。
まるで60歳のバービー人形みたいな女性だった。
「紹介するね。M先生です。美容師の先生なんですよ。こちら、まつげちゃんです。」
「初めまして、まつげと申します。まるでバービー人形みたいにかわいいですね」
まつげは、思ったことをすぐ口にする。
すると60歳のバービー先生は言った。
「あなたは、とっても丸い人ですね。素晴らしいわ」
まつげは、一瞬、顔が丸いと言われたのかと思って、いきなりで驚いたが、その言い方が、あまりにも賞賛に満ちていたので、「ありがとうございます」と一応お礼を言った。
バービー先生はにっこりして続けて言った。
「あなたに言うことはなにもありません」
そして、向こうへ行きながらOちゃんに、耳打ちしているのを、まつげのダンボの耳は聞き逃さなかった。
「彼女みたいな人とトモダチになりなさい。あの人は、ココロがまん丸で、いるだけで、たくさんの人が集まってくる人よ。みんなをシアワセにできる人よ・・」
そうか!!丸いのは、顔じゃなくて、心のことだったんだ!ほっとしていると、バービー先生が、いきなり来客を見て、声をあげた。
「あら、あなた!今日、私は、あなたに会いに来ましたよ!悩みがあるんでしょう?」見ると、今日、まつげに悩み相談をしにきたHちゃんが立っていた。
ん・・なんか、この先生すごい人かも?
それから、バービー先生は、くる来客を見ては、「あなた、つらかったわね。わたし、涙が出そうだわ」とか、「深い悩みがあるのね。でも、今、ここじゃ、アドバイスができないわ」とか、いろんなことを言っている。
どうやら、チャネリング?が出来るらしく、先生ではない意識が、アドバイスをさせるとのこと・・。
まつげは、言われた来客のところに飛んで言っては「何かつらいことあったの?」「人に言えない悩みがあるの?」と事実を確認してまわったが、みんな「そうなの・・」と答えた。なんだかすごい。
でも、よく見ると、フルールの中には、ミッチー先生をはじめ、足裏マッサージで、体中の痛みをとるYちゃん、気の力と電子の力で、女性をかわいい小顔にするOちゃん、チャネリングのNAOちゃん、手相占いの旦那を持つKちゃん、よく考えるとへんな人が(失礼・・・)いっぱいきている。
遅れて、ママが登場して、やっとバーベキューパーティーがはじまった。ママは「みなさん、ありがとうー。楽しんでくださーい」と挨拶終了。(短い・・・)
総勢30人以上。珍しくパパも、最近マイブームの「ちょい悪おやじ」のかっこで登場。みんなで食べると、美味しさ倍増。NAOちゃんやカナちゃん、桃原先生が作ってくれたおにぎりも格別においしかった。
バービー先生に「ママはどうですか?」と聞いてみると、バービー先生はこういった。
「あなたのママは、あなたたち三姉妹を生み終わった時から、一生涯の幸せが約束された人よ。普通、親と言うのは、子供にどんどんエネルギーをとられるものだけど、あなたのママは、子供達から、愛情というエネルギーをどんどんもらって、それを太陽のように人に与えることができる、ものすごくラッキーな人よ」
まつげは、当たってるなーと思った。でも、エネルギーを人にあげるというと、なんか、エネルギーを消耗するみたいで聞こえは悪いが、実際ママにあげている現状は、悪くないものだった。
好奇心でまつげは聞いてみた。
「先生は、いつから、こういうことが出来るようになったんですか?」
「小さい頃から予知能力みたいなものがあり、いろんなことを当てることができたのよ。そっちの道には行きたくないというと事故があったりね。でも、そのせいで、母親にはずいぶん気味悪がられてね。あまりかわいがられるという事はなかったわ。だから今も、なるべく言わないようにはしてるのよ。あたしは、あなたのママがうらやましいわ。あたしは、子供ができない体質でね」
すごい能力のあるバービー先生に感じる少しの暗い影。それは、そんな生い立ちにあるのかな。チャネリングの能力は高い。でも、人間としては、とても孤独なのかもしれない・・・・そんな風に思った。
パーティーは盛況で、にぎやかで幸せな時間は、あっという間に過ぎていった。友人達の家族やだんなさま、日頃あまりお会いしたことのない人たちにも会うことが出来て、まつげも本当に幸せだった。
まつげは、特別な能力もない普通の女性である。(今は、貯金もなくなった・・。)
でも、つくづく思うのだった。何が幸せを決めるのか?それは、能力でもない。お金でもない。幸せを感じる力なんだ・・と。
まつげは、時々、子供達に「ね、幸せ?」と聞いてみる。二人とも慣れたもので「うん、幸せ」と答えるが、昨日、天くん(5歳)が聞き返してきた。
「ね、幸せってどういうの?」
「え?えっと・・」
思わず、どう説明しようか考えるまつげに天くんが言った
「嬉しいって感じ?」
「うん、そんな感じ」
「そっか、じゃ、今、幸せ」
まつげは、それを聞いて、心から幸せを感じる。
子供達にどんな大人になって欲しいか?その問いに、まつげはこう答える。
「生きる喜びを感じられる大人に・・」
ヒーリングというと、痛みや悲しみが誰かによって癒されたり、病気がよくなったり・・・そんなイメージだった。
しかし、最近は、それは、ヒーリングの一部でしかない・・・そんな風に感じるようになっていた。
そんな、ある日、まつげの気持ちにまったくぴったりくる記述に出会った。
加納眞士さんの「癒すこと、癒されること」より。
「ヒーリングの範囲は、病気治しだけではない。その人を縛っているフィールドが、人を病気にしていることは多い。はまりこんでいるフィールドから人を自由にさせて、本来の使命や能力を取り戻させることこそ、本当のヒーリングなのである。」
そう・・。生きていると気がつかないうちに、自分が分裂していくことがある。
したくないことをしているとき。
それから、罪悪感にさいなまれながら何かをやるとき。
ウソをついているとき。
こういうとき、本来の自分は否定しないとうまくやっていけない。「こうでなきゃ・・」という思いが、自分を分裂させてしまう。そうなると、本当は持っているはずの幸せを感じる力が、完璧にその扉を閉ざしてしまう。
しかし、自分を縛り付けている原因に気がつき、それを手放すことができたとき、ものすごい自由な開放感と同時に、白黒だったものがカラーになっていくように、日常のあらゆるところに、幸せが見えて、涙がでそうになってくる。自分らしく生きていこうという勇気がわいてくる。心が大きく大きく広がったような気分になる。
何も考えずに、誰かに痛みをとってもらうのもいい。
でも、また痛くなったら、誰かに頼らなくてはいけない。それも悪くはないが、自分で気がつく手助けをしてもらえたなら、それからは、その問題に関しては、自分が自分のヒーラーになることができる。今までの経験がすべて宝物になる。本当は、そういうのが本物のヒーリングだなって・・。
ミッチー先生は、そういう手助けをしてくれる人。
パーティーのあと、部屋に戻ると、ミッチー先生が、ぐったりとソファーで横になっていた。額に手を当てると、熱があった。
みんなにたくさんの気づきをもたらしたミッチー先生の熱は高く、うちの家族は、こぞってお薬を持っていった。それをすべて飲みほして、ミッチー先生は、こんこんと眠り続けていた。次の日は、ミッチー先生を自宅で寝かせておいて、みんなで小豆島(しょうどしま)に遊びに行った。(ひどい?)みんな、この数日間の出来事をゆっくりと消化するような時間が流れた。ミッチー先生は、持ち前の気力と体力で、一日で、なんとか回復。次の日。3人は、また水色の車で、東京に戻って行った。
3人を見送ったあと、トモシーが急に「今から九州に行こう」と言い出した。今からじゃ、とても無理だよ・・というまつげに、「神社におまいりに行きたい」と聞かない。
どうしてもと言うので、着の身着のままで、出発。車で10時間かけて熊本に到着。
着いたのは、幣立(へいたて)神社。
子供達は、2人とも熟睡していたので、夫婦2人で境内の階段を上っていった。
トモシーがひいたおみくじは「大吉」
「過去のことはすべて忘れて、今日からは、喜びを感じながら生きなさい」
「すごいじゃない!!素晴らしいぴったりのおみくじがでたね。あたしのおみくじ、末吉だよ。」
そういうまつげにトモシーが言った。
「うん、今までは、神社でいつも『天地和合』を祈っていた。(←そんなこと祈る人も珍しいが・・)それが一番いいと思っていたんだ。でもね、今日は、家族の幸せ、友人達の幸せを祈れた。自然にみんなの幸せを祈りたくなったんだよ」
「すごい・・・トモシー、本当に良かったね・・」
「なんか、言葉少ないね、疲れた?」
「いや、なんか幸せだな・・と思って」
といいながら、本当は・・・嬉しすぎて、胸がいっぱいで、今にも泣きそうなのをこらえながら、窓からの緑の深い阿蘇の山並みをじっと見ていたのだった。